2番出口

 

最悪なデート(になるとはつゆ知らず浮き足立って)の待ち合わせ場所へと向かう途中、高速バスの大きな待合室のガラスの向こうに、見覚えのあるVANSのスニーカーを捉えた。いつもの自分ならそのまま通り過ぎていたと思う。けれどもその日は、なんとなく、引き返した。顔も見えていなかったのに妙な予感がした。友達だった。

ガラス越しに顔を覗き込むと友達はめちゃくちゃびっくりしていて、わたしも何だかわからずにニヤニヤしてしまった。ドラマのワンシーンかよ、って笑いあって少し話をした。

 

お腹痛くなったときくらいにしか神に祈らないけど、その日はやっぱり神様っているのかなと思った。たまにいたずら心を出してこういうことをしてきてるとしか思えない。だって幾つ偶然が重なればこんな広い都市の中で出会うんだ。エモい。

とりあえずその友達はサイコーなので今度ご飯行く約束した。たのしみだ。